記憶の引き出し

思ったことを書き留めるためのヲタク日記

グリーンマイルの感想(ネタバレあり)

グリーンマイルを観劇してまいりました。

この年齢でなかなか少ないのですが、実は映画を見ていません。当時話題になったことは覚えています。
観劇後に友人と話していて、どうやら映画の方がかなり重たく暗い演出だということはわかりました。

知識もないため、考察などの細かいことはできません。
予習をせずに見に行った感想です。

 

物語として死刑囚のお話しということは知っていました。
シゲアキさんはストーリーテラーという立場も兼ねていて、ずっとよどみなく喋り続けていた印象です。
この膨大なセリフを全部覚えていることだけでもすごいと感心しました。当たり前でしょうけど。
場面での表情、声、どれもが印象的で役者加藤シゲアキを見るならこういう看守役は適任かもしれないと(自担贔屓目ですが)思ったものです。

コーフィー役の把瑠都さんはとても役に合っていました。優しさがにじみ出ているような印象。
片言で話す姿が大男な風貌に違う印象を与えていて可愛らしくもあり、切なくもあり。

前回の「中の人」から様々な経験を経てきたんだなと感じさせられました。
前回は笑いもあって、でも少し不思議な空間で、この時に「コンテンポラリーダンスはシゲアキさんにぶっちぎりで似合う」と思っていて、それからのソロ曲「あやめ」だったり、ドラマも出ていたりと舞台の経験がシゲアキさんの経歴にどんどんと色を足していっていました。
グリーンマイルは生死を浮き彫りにした内容だったのはまた違う魅力が備わったんじゃないかと思います。


でもそんな中、場所によってですが、シゲアキさんの指先をじっくり見られたりして親指の反りを確認し、ドキドキしたりしていました。
また、尿路感染症に苦しみつつもそのゆがんだ表情に激萌えしたことは内緒です…。

 


私はこの舞台を全部で3回観に行くことができました。
初回はやはりストーリーを追うので精一杯になってしまう箇所もあり、また場所も少し悪かったのかセリフが聞き取りづらい箇所もありました。
2、3回目はそういったことも無く落ち着いて見られたし、なおかつもっと感情移入できるようになったので初回より響いた印象です。


ど真ん中で見られた時は他の共演者の方の表情を読み取ることができたりしたのも良かったです。
コーフィーの最後の処刑台での瞬間の穏やかな表情。
デラクロワの相棒Mr.ジングルスの芸がお偉い方への披露され、気分が良かった時からの落差。
パーシーのウォートンから警棒で嫌がらせをされ、おもらししてしまった時の表情。正気の沙汰ではない、病気を移された瞬間の狂気。
ディーンが死刑について考えだして困惑した時の表情。
一番怖かったのはウォートン。刑務所に来てからことあるごとに不気味な空気を醸し出し、場面転換の時に気味の悪い笑い声をあげていたのが怖さを演出していました。


2階席で見た回では、照明の使われ方に驚きました。
1階席では気づかなかったのは収容された場所の形。グリーンマイルを歩く時の照明。森や暗がりの表現。
様々な場所で照明が効果的に使われていました。


3回目。もうポール演じるシゲアキさんを見るのは最後なんだと思ったら勝手な気合いも入っていましたが、この舞台はまだ続きます。東京も残っているし、京都でも。
コーフィーを電気椅子に座らせて最後の一言を放つ時。意を決するかのように静寂の中ポールから聞こえたのは鼻を一瞬すする音と小さく息を吐き出した音でした。
ポールが鼻を赤くして泣いていたのです。
この舞台自体はもう公演数だけで言えばかなりの数を終えているにも関わらず、何度演じてもそこで来る別れがそうさせたんだと私は思います。
そこにいたのは間違いなくポールだったし、演じた加藤シゲアキさんに何とも言えない感情を抱きました。


まさに今を「生」きている人が「死」について考える。
重いテーマでもあり、ファンタジーでもあった舞台。
そんな作品にカンパニーの座長としてシゲアキさんが出られたことがとても嬉しかったです。
まだまだ続きますが、カンパニーの皆様全員で無事に千秋楽まで走り切れるよう願っています。